イメージ画像:映画『あえかなる部屋 内藤礼と、光たち』より
(監督・編集:中村佑子)
オンデマンド
2020/5/4収録

芸術公社チャンネル開設記念トーク

ウィルス共生時代を生き抜く、芸術の想像力とは

[登壇者]
  • 安藤礼二(文芸批評家)
  • 高山明(演出家、Port B主宰)
  • 中村佑子(映画監督・作家)
[企画・司会]
  • 相馬千秋(アートプロデューサー/芸術公社代表理事)
概要

未知のウィルスが人間社会の営みを中断させ、人々を不安に陥れています。しかし人類の歴史を振り返れば、感染症と文明の発達は相補的なものでもあったと言われています。疫病の流行は、そもそも人間の生とは何か、という実存的問いを人類に突きつけ、人間が生き抜くための知恵として神話、宗教、芸能そして芸術をも進化させてきたと言えるのかもしれません。

「内」に閉じこもることで、あらためて「外」を意識する。社会的距離にとって、他者との関係性を再設定する。都市空間の中で見えなくされていたものが、一気に可視化される。それはまるで、ウィルスが私たちの「生」に関する認識の更新を迫っているようにも感じられます。

人類社会が丸ごと揺さぶられる日々の中で、芸術家たちは何を見聞きし、何を受け取り、どんな問いを発しようとしているのでしょうか。また、かつて疫病蔓延の時代を生きた芸術家や宗教者たちは、何を思い、何を媒介し、どのような創作や活動を展開したのでしょうか。アントナン・アルトー、折口信夫らの思索も手がかりに、ウィルス共生時代を生き抜くための芸術的想像力について、自由なトークを展開します。

プロフィール
  • 安藤礼二(あんどう・れいじ)

    1967年東京都生まれ。文芸評論家、多摩美術大学教授。主な著書に芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞した『神々の闘争 折口信夫論』(講談社、2004年)、大江健三郎賞と伊藤整文学賞を受賞した『光の曼陀羅 日本文学論』(同、2008年)、角川財団学芸賞とサントリー学芸賞を受賞した『折口信夫』(同、2014年)。2019年の最新刊に『列島祝祭論』(作品社)、『迷宮と宇宙』(羽鳥書店)、『吉本隆明 思想家にとって戦争とは何か』(NHK出版)。

  • Photo: Yuji Oku

    高山明(たかやま・あきら)

    1969年生まれ。演出家・アーティスト。演劇ユニットPortB(ポルト・ビー)主宰。既存の演劇の枠組を超え、実際の都市を使ったインスタレーション、ツアー・パフォーマンス、仮設の「学校」、社会実験プロジェクトなど、現実の都市や社会に介入する活動を世界各地で展開している。近年では、美術、文学、観光、建築、教育といった異分野とのコラボレーションに活動の領域を拡げ、演劇的発想を観光や都市プロジェクト、社会実践やメディア開発などにも応用する取り組みを行っている。

  • 中村佑子(なかむら・ゆうこ)

    1977年、東京生まれ。映画作品『はじまりの記憶 杉本博司』『あえかなる部屋 内藤礼と、光たち』、テレビ演出作「NHK BSP 幻の東京計画 首都にあり得た3つの夢」「NHK ETV特集 建築は知っている ランドマークから見た戦後70年」など。文芸誌『すばる』での連載論考「私たちはここにいる 現代の母なる場所」が、今秋集英社より書籍化。

  • Photo: Yurika Kawano

    相馬千秋(そうま・ちあき)

    NPO法人芸術公社 代表理事/アートプロデューサー。「急な坂スタジオ」初代ディレクター(2006-10年)、国際舞台芸術祭「フェスティバル/トーキョー」初代プログラム・ディレクター (F/T09春〜F/T13)、文化庁文化審議会文化政策部会委員(2012-15年)等を経て、2014年NPO法人芸術公社を設立。国内外で舞台芸術を中心としたプロデュースやキュレーションを多数行っている。2015年フランス共和国芸術文化勲章シュヴァリエ受章。2016年より立教大学現代心理学部映像身体学科特任准教授。2017年に「シアターコモンズ」を創設、現在に至るまで実行委員長兼ディレクターを務めている。2019年には「あいちトリエンナーレ2019」のパフォーミング部門のキュレーターも務めた。

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